下剤2 下痢気味の人でも・・・

下剤1の中の桃核承気湯は、便秘ぎみで体力がある人にと説明しました。

私が、試しに桃核承気湯を飲んだ時のこと。

味は、「よだれの味」。

・・・合う人は、甘く美味しいと言います。

明らかに合わないと思いながら1包を飲んでみたら大変!

15分もしないうちに下痢のオンパレード。

それもお腹は、激痛。

便器を抱えていたいとはこのことか、やめとけばよかったと猛省。

しかし、ある時わき腹を強打したときのこと。

抑えていないと痛くてたまらなかったのですが、

そんな時は、桃核承気湯がいいよと皆さんに言った手前、

おそるおそる飲んでみたのです。

味は、無味。

あれっ?以前は、まずくてしようがなかったのに?

またまた下痢かと思いきや、わき腹の痛みが消失!

それでもいつ下痢がくるかとおそるおそる。

しかし、その日下痢は一切しなかったのです。

漢方って必要があれば下痢しないということが実践。

翌日もう一回と思い桃核承気湯を一口飲むと・・・

「まずい!」・・・そこですぐに捨てることに。

カラダは、もうその漢方ではないよと教えてくれたのです。

普段下痢気味の私も強打したときは飲めて痛みが取れ、下痢もなし。

漢方は、そのようなものということをお知らせしたかったのです。

 

下剤  大黄と芒硝 

下剤のなかに大黄と芒硝があります。

大黄は、腸を刺激し、蠕動運動が盛んになって、

無理やり大便を出します。

もし、体力がない時、弱っているときに使うと、無理やり出すことで

様々な苦情が出てきますので、体力がある人に良く使います。

では、体力があるなし、見分け方は?

便秘で「のぼせ」が、強いか?弱いのか?

体力のない人は、時に一週間便秘をしても「のぼせ」が弱く、

体力のある人は、「のぼせ」が強く出ます。

のぼせが強い人に大黄を使うと、「のぼせ」も取れ、スッキリします。

しかし、1週間もでないで便が硬いときに大黄で無理やり出すと、

腸壁を傷つけることになるので、便を軟らかくする芒硝も使います。

芒硝は、硫酸マグネシウムです。

お水とたっぷり飲むことで、便を軟らかくします。

芒硝が入った漢方を飲む時には、必ずお水をたっぷり飲むことが大切。

大黄、芒硝の入った漢方は、桃核承気湯、大黄牡丹皮湯、

調胃承気湯、大承気湯などがあります。

冷やす生薬 鉱物は・・・

漢方で使われている生薬は、植物、鉱物、動物などがあります。

その中でも鉱物には、どんなものがあるのか?

芒硝、石膏、滑石などが有名。

では、鉱物は、どのようなときに使われるのか?

鉱物の性質は、冷やす、鎮めるという働きがあります。

冷やさなくてはいけない場合は、どんな時か?

臓器が働き過ぎてオーバーヒートの状態、

または、交感神経が亢進しているのを抑制しなくてはいけない状態のときに

鉱物で冷やして、鎮めます。

このように冷やす薬は、働き過ぎに使うので、機能低下がない時、

つまり、体力のない人に使う場合は、注意が必要です。

鉱物は、虚弱体質の人には、使わない方がよい生薬です。

良く考えてみると、体力のない人は、もともと働き過ぎることが

できない、そのまえに疲れてしまうわけです。

そのことからも体力のない人には、機能亢進になることは、

まれでほとんど必要がないともいえます。

動悸6 人参 

最後は、人参。

これも胃のところで説明しましたが、ここは動悸に使います。

では、どんな動悸?

胃で動悸を起こすとき。

えっ?胃で動悸?と思うかもしれませんが、動悸といっても

心臓だけでなく、胃やお腹もあります。

黄連は、胃の不調が心臓に影響を与え動悸がするときと説明しました。

しかし、条件があります。

それは、体力がある人です。

では、体力がなく、胃が弱くて動悸がするときに人参の出番です。

胃酸過多症タイプの動悸・・・黄連。

胃酸の出が悪い人の動悸・・・人参と覚えてください。

様々な不調の原因は、胃腸の不調にあると言ってもよいくらいです。

その胃腸の不調に気がついていない人がほとんどです。

動悸に使う生薬・・・茯苓、桂枝、牡蠣、竜骨、黄連、人参。

動悸の見分け方・・・

ホルモンバランスの乱れ(腎)、自律神経系、胃腸系なのか?

それぞれ単独とは限らず、3つとも絡んでいる場合もありますので、

見逃さないようにしてください。

動悸5 黄連 

動悸に使う生薬の5番目は、黄連。

あれっ?黄連は、健胃剤では・・・

実は、胃と心臓は関係があります。

胃が悪く、体力があって、胃の不調のとばっちりが、心臓に行き、

心臓が息苦しくなって動悸がするという場合です。

震源の胃の不調を取り除くことで心臓の動悸を取ることが出来ます。

私も食べ過ぎて動悸がしたときに、黄連の入った漢方40で

動悸が治った経験がしばしばあります。(食べ過ぎなければよいのですが・・・)

ものの本には、「黄連は、心臓の炎症や充血を取る」と書いてあります。

では、心臓が弱っているときは・・・牡蠣を使います。

漢方相談の中でも食べ過ぎて胃には不調が出ず、動悸がするという

相談をよく受けますが、胃腸に効く漢方で動悸が治まることも多々あります。

いずれにしても食べ過ぎ=カロリーオーバーは良くないということ。

カロリーオーバーは、炎症や瘀血を招くと覚えておいてください。

動悸4 竜骨 

動悸に使われる生薬4つ目は竜骨。

竜骨は、骨だからカルシウム?

実は、アミノ酸です。

では、アミノ酸を動悸に使うときは、どんな状態なのか?

タンパク質が不足している人、

食べていても胃腸の消化吸収力が落ちている人。

アミノ酸不足で衰弱している人の動悸に使います。

暑い夏、食欲が落ちてサッパリ系のものしか食べていない人、

例えば、そうめん、ひやむぎ、うどん、そば、などの麺類しか

食べていない人は、アミノ酸不足になりがちですので注意してください。

もし、動悸が起きてしまったら、竜骨が入った漢方が必要になります。

動悸3 牡蠣 

動悸に使われる生薬3つ目は牡蠣。

牡蠣にはカルシウムイオンにより鎮痙作用があります。

カルシウムイオンの働きは・・・

・心臓機能亢進を鎮める

・小便不利を治す(血管からの細胞液滲出抑制)。

・痙攣を鎮める(神経、骨格筋の興奮を鎮める)。

このように心臓の機能亢進状態のときに牡蠣を使います。

心臓は胸にあり、胸の動悸、または、胸から出た動悸が

腹部動脈にまで降りてくるときもありますので、腹部動悸も使います。

つまり、牡蠣は胸部、腹部動悸を鎮めるのに使います。

カルシウムイオンに相拮抗するのがマグネシウムイオン。

マグネシウムイオンの代表的な生薬は、石膏。

石膏を心臓の弱っている人に使うと、心臓を支配する自律神経が

亢進しすぎて心臓に余計に負担をかけてしまうことがあります。

その点、牡蠣は、交感神経優位型の現代人には、よく使われます。

牡蠣の入った漢方は、桂枝加竜骨牡蠣湯、柴胡加竜骨牡蠣湯など。

 

動悸2 桂枝 

桂枝の働きは?

血管を太くして、血行を促進します。

たとえば、アルコール。

アルコールを飲むと血管が拡張して血流がよくなります。

同じように桂枝には、腹部の血管の欝血を取り除く働きがあります。

桂枝が効くような動悸とは・・・

腹部動悸、臍の動悸に桂枝を良く使います。

昨日の茯苓と今日の桂枝が入った漢方は?

桂枝茯苓丸が有名です。

桂枝茯苓丸は、血流をよくすることで様々な症状によく効き、幅広い漢方です。

動悸1 茯苓 

動悸に効く生薬は・・・

茯苓、桂枝、竜骨、牡蠣、黄連、人参などがあります。

まずは、茯苓。

茯苓は、胃の不調に良く使われますが、腎に効きます。

副腎皮質の機能が弱り、ホルモンバランスが崩れた時に使うと、

副腎皮質ホルモンの分泌のバランスが整って動悸を治します。

では、動悸の原因が腎にあるかどうかの判断は・・・

みぞおちと臍の間の動悸があるか?

これを腎虚の動といいます。

みぞおちと臍の間のところに動悸が起きたら

茯苓の対象と考えてみて下さい。

胸やけ 生薬は・・・

胸やけに使う生薬は・・・

3つに分けます。

1.胸やけが強い時・・・黄連、せんぶり、ゲンチアナなどの苦い生薬。

漢方では、黄連湯、三黄瀉心湯、半夏瀉心湯など。

2.さほどでもない時・・陳皮。

陳皮の入った漢方では、六君子湯、香蘇散、平胃散など。

3.胸やけが少なく治癒力低下のとき・・・牡蠣末(中和剤)。

牡蠣の入った漢方で有名なのは安中散。

他には柴胡加竜骨牡蠣湯、桂枝加竜骨牡蠣湯、柴胡桂枝乾姜湯など。

いがいなところで鼻水によく使う小青竜湯なども胸やけに効く場合があります。