苓桂甘棗湯 胸騒ぎがして・・・

生薬

茯苓、桂皮、大棗、甘草、以上4味。

効能・効果

動悸があり、神経の高ぶりがあるもの。

神経性心悸亢進、心臓神経症、ヒステリー、神経衰弱、ノイローゼ、

胃痙攣、胃拡張、子宮痙攣など・・・

桂皮は、気血をめぐらし、気ののぼせを鎮めて体表を整えます。

甘草は急迫を緩和し、胃を助け毒を消します。

茯苓は利水鎮静作用があり、体内の水分を調節し、動悸を鎮めます。

大棗は引きつりやこわばりを緩和し、胃を助けて腎水を調節します。

急に動悸や胸騒ぎが起こり、頭痛、肩こり、頭汗、喉の突き上げ感、めまい、嘔吐、

ヒステリー、パニック障害、うつ病などによく使います。

「どうしょう、どうしょう」とパニックに陥り、

焦ってしまうタイプによく効きます。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

苓姜朮甘湯 腰冷えに・・・

生薬

茯苓、乾姜、白朮、甘草、以上4味。

効能・効果

腰に冷えと痛みがあって、尿量が多い次の諸症:

腰痛、坐骨神経痛、冷え症、夜尿症、帯下、頻尿、脚弱、

身体倦怠、アレルギー性鼻炎など・・

いずれも寒冷と湿(水毒)を取り除く生薬からできています。

カラダが重く、腰から下が冷え、湿が下半身に溜っている状態。

腰が重くヒンヤリして小便が多量に出る人に良く使います。

腰から下が水に浸かっているようという表現する人が多いです。

尿不利の場合、鼻水が多く出る人もいます。

八味丸との区別は、上半身には訴えがなく口喝もないのが特徴です。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

麻子仁丸  体力低下の便秘に・・・

生薬

麻子仁、芍薬、枳実、厚朴、大黄、杏仁、以上6味。

効能・効果

痔疾の便秘、習慣性便秘、老人性便秘、尿意頻数、夜尿症、

腎萎縮で大便の硬いもの・・・

一般薬の下剤では、ほとんどが大黄やセンナ葉または

その成分であるセンノシドを使っています。

センノシドは緩和な下剤ではありますが、弛緩性便秘にしても痙攣性便秘にしても

常用しているうちに効き目がなくなって量を多く飲むようになってしまいます。

特に大黄の単味、センナ大黄のように生薬をそのまま使用していると、

タンニンや樹脂のために“しぶり腹”になりやすく、高齢者や体力の落ちた人は、

強い腹痛をともないます。

また、下痢が止まらなかったりします。

その点では、麻子仁丸では、体質に合えば、スムーズに出ます。

ポイントは、高齢者で皮膚が乾燥し、小便の近い人に良く効きます。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

麻杏薏甘湯 冷えにより・・・

生薬

麻黄、杏仁、薏煎仁、甘草、以上4味。

効能・効果

関節痛、神経痛、筋肉痛、筋肉リウマチ、関節リウマチ、妊娠性浮腫、腎炎、

ふけ、手足の荒れ性、湿疹、水虫、イボ、さめ肌など・・・

麻杏薏甘湯は、麻黄湯の桂皮を薏煎仁に入れ替えたものとみるのか?

麻杏甘石湯の石膏を薏煎仁に入れ替えたものとみるのか?

漢方は、一味の出し入れで効かせる部位が変わってきます。

麻黄、杏仁は、体表の湿を発散し、喘咳を鎮め、気をめぐらせて熱を冷まします。

薏煎仁は、健胃、利湿、消炎、排膿作用があり、筋肉の引きつりを和らげ、

皮膚に血液を送り、乾燥を潤します。

甘草は、他の薬味とともに痛みを緩和します。

汗をかいた体表面に風や寒により冷えされ、皮膚表面の機能低下が起こり、

本来皮膚より発散されるべき熱と湿が皮下に停滞して、

筋肉、関節に痛みが出て、冷えてくるとその痛みや発熱

が一段と強くなるものによく使われます。

皮膚は渇いて委縮し艶がなく、皮下に水腫、熱がこもっているものによく効きます。

私の経験で夏場、ゴルフの練習で汗をかいて車に乗り、エアコンで冷えされ、

翌日、肘、肩、腰の節々の痛みのときに一服で劇的に効いたことがあります。

仕事で冷えている場所で働いている人、または暑いところで働いて常に汗をかいて、

その汗がエアコン、外気の冷気にさらされているひとの

慢性の痛みにもよく効きます。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

麻杏甘石湯 激しい咳に・・・

生薬

麻黄、杏仁、甘草、石膏、以上4味。

効能・効果

咳が激しく、発作時に喘鳴や頭部発汗を伴うもの。

気管支炎、喘息様気管支炎、気管支喘息、小児喘息、

肺炎の咳嗽、痔、睾丸炎など・・・

麻黄湯から桂皮を除き、石膏を加えたもの。

麻黄は、本来発汗作用がありますが、石膏と組むことで汗止作用に変わります。

杏仁と組むと胸郭部の熱と痰を取り除く働きがあります。

表面の熱と水は、取れたもののカラダの中の熱と水が

停滞してしまったときに起こる咳や喘鳴によく使い、

口喝と発汗、または脂汗、むくみも呼吸困難になったものに効果を発揮します。

また、小便は、少なく色は濃くて大食いをしたときに発作

が起こりやすい傾向にあります。

大食いとありますが、少なくても高カロリーのものを食べて

カロリーオーバーのときに発作が起きやすいということです。

この漢方が合う人は、カルシウム不足の傾向があり、

虫歯が多い人が風邪をこじらせ、咳が止まらないときによく効きます。

効能・効果に痔や睾丸炎に使うとあるのは、お尻回りが冷えやすい体質がゆえに、

血流不足が生じるためと考えられます。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

麻黄湯 節々の痛みの・・・

生薬

麻黄、杏仁、桂皮、甘草、以上4味。

効能・効果

風邪の引き初めで、寒気がして発熱、頭痛があり、

カラダの節々が痛い場合のつぎの諸症:

熱性疾患の初期、感冒、流感、腸チフス、肺炎、鼻血、

乳幼児の鼻づまり、気管支喘息、急性関節リュウマチ、腰痛など・・・

麻黄は、発汗、鎮咳作用、桂皮と組むことで汗を出させて

熱を下げる働きがあります。

杏仁は、鎮咳去痰作用があり、気の滞りをなくして浮腫を消します。

甘草は、急迫症状を緩和して麻黄と組むことで強心的に働くとあります。

インフルエンザのとき、カラダの節々が痛むときによく使います。

気をつけてほしいのが、汗。汗かき体質でないことが条件になります。

もし間違えて汗かき体質の人に使うと、さらに出て脱水症状

が起きる場合があります。

とくに高齢者には、1包でも発汗過多になり脱水するばあいもあります。

乳汁の出が悪く分泌不足のときに使うときもあります。

麻黄湯と間違いやすいのが大青竜湯。

ポイントは、節々の痛みの他に口が渇き、

じっとしていられないようなときは大青竜湯を使います。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

麦門冬湯 痰の切れにくい・・・

生薬

麦門冬、半夏、大棗、人参、甘草、粳米、以上6味。

効能・効果

痰の切れにくい咳、気管支炎、気管支喘息、咽頭炎、肺炎、のどの乾燥感、刺激感、

高血圧症、動脈硬化症、脳出血などで、のぼせ感が強く、あるいは言語しぶり、

あるいは咽喉不利感があるもの、妊娠咳で、咳をすると小便が漏れるものなど・・・

竹葉石膏湯より竹葉と石膏を去り、大棗を加え、

麦門冬を増加したものといわれています。

麦門冬、人参が津液不足を補い、半夏が肺気を補い気道を開きます。

人参、大棗、粳米は、胃気を補い、肺の虚を補助します。

竹葉と石膏がないということは、熱と渇がない状態ということです。

痰はあまりなく、あったとしても痰が切れにくい激しい空咳がでるときです。

また、喉が詰まって呼吸が苦しくなってしまうような咳によいとあります。

≪金匱要略≫のなかで「大逆上気して・・・」とあります。

大逆上気というのは、顔を赤くして咳き込むような状態で、

気が突きあげてくるものです。

このことから高血圧でのぼせ感が強く、ふらついてしまうようなときにも効きます。

風邪をこじらせて声がでないようなとき、すなわち声枯れのように

喉が乾燥しているときにもよく効きます。

花粉症のときの鼻水が麦門冬湯で治まることもあります。

いずれにしてものぼせがあり、気が上がってしまいやすい人に良く使います。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

排膿湯 化膿に・・・

生薬

甘草、桔梗、生姜、大棗、以上4味。

効能・効果

化膿性皮膚疾患の初期、膿瘍、潰瘍、歯槽膿漏、中耳炎、

蓄膿症、痔瘻、扁桃炎などで

膿がたまっているか、または出ているもので周囲の浸潤がかたくないもの。

構成をみると、桂枝去芍薬湯から桂皮を去って桔梗を足したもの、

または、桔梗湯に生姜、大棗を足したものといえます。

基本的には、化膿症につかいます。

腫れものの初期で皮膚面からあまり盛り上がっていないような状態のときで、

少し熱を持っていて赤くなっているような状態のときに使います。

一方腫れ上がってしまい、硬くなってきたものは、排膿散を使います。

DSC_1111

人参湯 うるさい咳払い・・・

生薬

人参、甘草、白朮、乾姜、以上4味。

効能・効果

手足が冷えやすく、尿量が多いものの次の諸症:

胃腸虚弱、胃アトニー、下痢、嘔吐、胃痛、胃下垂、

胃潰瘍、胃酸過多症、胃酸欠乏症、

胃腸カタル、腸炎、よだれ、つわり、心臓弁膜症、心臓神経症、喘息、肋間神経痛、

肋膜炎、心痛、肩痛など・・・

冷たいものをよく好む人、または、くだものをよく食べる人で

手足が冷えて多尿の人の痛み系によく使われます。

また、唾液が口の中によくたまりやすい人も対象です。

痛みの特徴は、ヤリで内側から刺されているような感じで、

ズキンズキン、ズキズキ痛むという表現を使うときです。

痛む場所は、様々で、胃の冷えが原因の場合が多いようです。

下痢に使う場合は、出るとサッパリするタイプは、

半夏瀉心湯などで、人参湯の場合は、下痢した後、

疲れてだるくなるタイプに使います。

アイスや冷たい飲み物、くだものを好んで食べるため、

胃が冷え切ってしまった結果に

どこかにカラダは、痛みという手段を使って、

「冷えすぎていますよ!」のサインを足しているわけです。

アイスやスムージーなどの冷めたいものを食べると、

人参湯で温めるという人もいます。

どうしても冷たいものをとりたい人は、人参湯は、

ぜひ飲んでいただきたい漢方のひとつです。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

当帰芍薬散 冷えとむくみが・・・

生薬

当帰、芍薬、茯苓、沢瀉、川芎、白朮、以上6味。

効能・効果

比較的体力が乏しく、冷えまたは貧血傾向があるもので、排尿回数が多くて

尿量が少ないもの、あるいは冷えて下腹部に圧痛のあるものの諸症:

冷え症、頭痛、めまい、立ちくらみ、耳鳴り、心悸亢進、便秘、下痢、むくみ、

胃腸障害、気鬱、肩こり、腰痛、しびれ、不眠、ノイローゼ、ヒステリー、肺結核、

肋膜炎、気管支喘息、高血圧、低血圧、メニエール、甲状腺腫、

パセドウ病などの動悸、腎炎、ネフローゼ、痔、肛門脱出、

ひび、あかぎれ、じんましん、ニキビ、そばかす、

湿疹、月経不順、月経過多、無月経、子宮出血、子宮内膜症、子宮筋腫、卵巣嚢腫、

骨盤腹膜炎、流産癖、不妊症、婦人更年期障害など・・・

当帰芍薬散は、陰証の駆瘀血剤としてもっとも有名な薬方です。

貧血の人は、頭に何か覆いかぶさっているような頭重を訴えることが多いようです。

皮膚は、水っぽくたるんでいて皮下に水気がありそうな感じといわれています。

小便は、多量で大便は、弛緩性の便秘の傾向があります。

また、下剤を使うと腹痛を起こします。

生理は、不順でどちらかというと遅れがち、生理痛もあり、

よく腹痛を起こすタイプに使われます。

ポイントは、冷えとむくみです。

貧血の数値がでなくてもめまい、立ちくらみをよく起こすタイプで

チョコレート、氷をガリガリ食べるタイプに多いです。

ただし、胃腸が極端に虚弱になっている人は、

胃腸を立て直してからのほうがよいです。

病院では、不妊症というとほとんどが当帰芍薬散を出しますが、

当店で飲ませてみると、以外と飲める人は、

少なく胃腸障害を起こしている人も多々いますので注意が必要です。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA