甘麦大棗湯  腹が立つ人に・・・

生薬

小麦、大棗、甘草、以上3味。

効能・効果

夜泣き、ひきつけ、ヒステリー、チック病、癲癇、躁鬱病、内臓下垂など

小麦が入っているのが特徴。私たちが食べている小麦、パン、パスタ、麺類などに

使われていますが、その小麦の多量摂取がノイローゼ、

イライラ、情緒不安のひとつの原因と言われています。

甘麦大棗湯の小麦は、「心気を養うとともに肝気の虚を補う」とあるので

私たちの食べている小麦とは別物と考えた方がよいかもしれません。

なぜなら、イライラしたら小麦製品を食べた方がよいと勘違いしてしまうからです。

イライラした時の表現で「腹が立つ!」と表現する人は、

甘麦大棗湯の証の人が多い気がします。

「頭にくる!」と表現する人は、65桂枝加竜骨牡蠣湯の証の人が多いようです。

私の場合は、後者で「頭に来た~!」と言ってしまいます。

実際に飲んでみても、甘麦大棗湯は、甘すぎて気持ち悪くなりますが、

合う人は、甘くて美味しい!といい、

落ち着くともいいます。

生理中のイライラに飲むと落ち着き、食べ過ぎ予防にもなります。

精神的に何かあると、頭ではなく腹にきやすい人に良く合います。

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甘草湯 たった1味? 

生薬は、甘草たった1味。

効能・効果

激しい咳、咽頭痛の緩和。

甘草の作用は、抗潰瘍、抗炎症、鎮痙、鎮咳、ホルモン様、

免疫抑制、抗アレルギーなどの作用があります。

激しい咳、歯痛、痔の痛み、打撲痛、急性腹痛などにも

頓服的に使い劇的に効果が得ることがあります。

漢方というと、いくつかの生薬が絶妙の割合で配合されていますが、

この甘草湯は、甘草たった1味で痛みを止めることができるのですごいものです。

世間で甘草を多量に摂取することは、むくみ、高血圧、

胸やけを起こすことされていますが、

頓服的に摂取した場合は、そのような副作用は、でることは稀です。

そんなときは、五苓散をつかうことで解決する場合が多いです。

そのような副作用が出る場合は、甘草の量というより、処方自体が間違っている、

その人の体質に合わない漢方を選んでいる場合のほうが圧倒的に多く、

漢方自体には責任がありません。

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甘草瀉心湯  不眠に・・・

生薬

半夏、乾姜、人参、大棗、黄芩、甘草、黄連、以上7味。

効能・効果

みぞおちがつかえた感じのある次の諸症:

胃・腸炎、口内炎、口臭、神経症、不眠症

半夏瀉心湯の甘草を1g増量した処方です。

半夏瀉心湯は、食べ過ぎたり、食欲がなかったり、お腹がゴロゴロなったり、

ゲップがでたり、おならがでたりして、消化不良症状がひどいものとあります。

これに精神不安があり、不眠が加わるとこの甘草瀉心湯になります。

下痢のとき、軟便ぐらいならば半夏瀉心湯で水溶性の下痢の場合には、

甘草瀉心湯を使います。

精神不安や不眠の他、幻想、幻覚、多夢、夢遊、強迫観念などにも使われます。

主な原因は、温かいものしか食べてなくても胃が冷えてしまい、

熟眠ができていない人が甘草瀉心湯でよくなります。

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葛根湯 風邪といえば・・・

生薬

葛根、麻黄、生姜、大棗、桂皮、芍薬、甘草。以上7味。

効能・効果

感冒、鼻かぜ、頭痛、肩こり、筋肉痛、手や肩の痛み、僧帽筋のコリ、

肺炎、脳炎、リンパ腺炎、中耳炎、扁桃炎、口が開かぬもの、結膜炎、

皮膚炎、じんましんなどで発赤強く分泌のないもの、急性腸炎などなど・・・

葛根湯は、桂枝湯に葛根、麻黄が加わっただけですが、

桂枝湯とはまったく別物になります。

桂枝湯も風邪の初期によく使いますが、肌が汗ばむ傾向があり、

食欲も落ちてしまいます。

一方、葛根湯は、汗はかきにくく、食欲も落ちず、首筋、僧帽筋がコリます。

カラダをよく動かし、筋肉もあり、熱を上げる体力もあります。

最近の傾向として、肉体労働をしていない人は、筋力、体力が落ちている人、

胃腸虚塾の人は、葛根湯よりも桂枝湯です。

店頭でも明らかに桂枝湯の人が、コマーシャルやテレビ番組の影響で

風邪を引いたら葛根湯と思い込んでいる人が数多くいます。

肉体労働者以外は、風邪を引いたら桂枝湯から始めた方が間違いがありません。

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葛根黄連黄芩湯  胃腸炎などに・・・

構成薬味

葛根、黄連、黄芩、甘草以上4味

効能・効果

急性胃腸炎、口内炎、舌炎、肩こり、ぎっくり腰、不眠、気管支ぜんそく、

結膜炎、涙嚢炎、顔面痛、高血圧など

これらの症状で肩こりがあるものとされている。

また、葛根黄連黄芩湯は、葛根湯と瀉心湯の合方といわれています。

麻黄剤に分類はされているものの麻黄も桂皮も入っていません。

芩連剤に麻黄が入っていると思った方がよいかもしれません。

葛根は、水分が不足して血液が濃くなり、それが原因で肩がこるのを

潤して治す作用がありますが、この薬方では、瀉心湯が主で

葛根は従であると考えた方が良いとあります。

また軽い発熱があって呼吸が苦しく、肩が凝って、汗が出て、

さらに下痢するといった症状があれば、腸炎やぜんそくであっても

高血圧であっても病名を考えずに使ってよいと言われています。

黄芩湯  急性の下痢に・・・

黄芩は、抗炎症作用、毛細血管透過性抑制作用、IgE抗体生産抑制作用があります。

しかし、黄芩湯の場合、これらの薬理作用だけでは説明がつきません。

黄芩を中心としたひとつのチームとして考えた方がよいでしょう。

黄芩の他に芍薬、甘草、大棗の4味で構成されています。

効能・効果

さむけ、発熱、腹痛、みぞおちのつかえなどのいずれかを伴う次の症状:

下痢、胃腸カタル、急性腸炎、粘液便あるいは血便、急性虫垂炎など。

葛根湯の証も、発熱、悪寒して下痢する場合がありますが、葛根湯の場合は、

腹痛は少なく、しぶり腹にはならないのに対し、黄芩湯は、腹痛、悪寒があり

何度もトイレに行かなくてはならないような状態が続きます。

ノロ・ロタウイルスによる腸炎などにもよく効果を発揮します。

黄耆建中湯  諸々の不足に・・・

小建中湯に黄耆を加えたもの。黄耆は、体表面(皮膚、筋肉)の氣を補います。

小建中湯は、内臓(主にお腹)の氣を補うものに、黄耆を加えることで表と裏、

両方の氣を補うことになります。

条文には、諸不足を補うとあり、氣だけでなく血、津液なども補います。

気力、体力がなく、汗が漏れ出やすく、腹痛、

下痢、便秘があったりしてお腹が張るものに使うとあります。

生薬

桂皮、大棗、芍薬、甘草、生姜、黄耆、以上6味。ときに(膠飴)

効能・効果

虚弱体質で疲労しやすいものの次の症状:

虚弱体質、病後の衰弱、ねあせ、筋肉の引きつり、蓄膿、中耳炎、止まらない咳、

息切れ、口喝、肺気腫、耳漏、乳腺炎など

当店では、ふくらはぎのひきつりに多く使い、腰痛などにもよく使います。

また、風邪が長引き、咳が止まらないものにも使うことがあります。

私もゴルフ、スキー、草刈の前後によく使います。

筋肉の疲労蓄積度が違うのがわかります。

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温経湯  時には男性にも・・・

温経湯は、時には男性にも使いますが、ほとんど女性向けとみてよいのでは?

全体的に皮膚の乾燥気味、特に手の指先がひび割れていたりします。

くちびるも乾燥していることと、手のひらは、乾燥して熱っぽい人。

そのほか月経不順や冷え性、特に骨盤内の冷えによる腰痛、座骨神経痛、

股関節、仙腸関節痛などにも使います。

生薬

半夏、麦門冬、当帰、川芎、芍薬、人参、桂皮、

 

牡丹皮、甘草、生姜、呉茱萸以上11味。

効能・効果

手足のほてり、唇の渇くものの次の諸症状:

月経不順、月経困難、不妊、こしけ、更年期障害、

不眠、神経症、湿疹、足腰の冷え、しもやけ、

乾癬、進行性指掌角化症など。

 

特に甘いものの取りすぎからくる内臓下垂で骨盤が開き気味の人が、

起こす痛みに使います。

特に仙腸関節周りの痛みやぎっくり腰、股関節痛、座骨痛、

手の親指の痛みなどにも使います。

甘いものや過食を止めると苦くて飲めない人も数多くいます。

ずっと飲めてしまう人は、常にカロリーオーバーか、

甘いものを止められない人です。

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茵陳蒿湯  口内炎に・・・

茵陳蒿湯は、茵陳蒿、山梔子、大黄の3味からなっています。

茵陳蒿は、黄疸の聖薬といわれています。

単味で使っても胆汁の分泌作用が約70%増えるという。

山梔子の主成分には、利胆作用があり、大黄と協力し合い消炎作用もあります。

効能・効果は、

口喝があり、尿量少なく、便秘するものの口内炎、じんましんとある。

そのほかに、黄疸、舌炎、歯茎炎、更年期障害、卵巣機能不全、ノイローゼ、不眠、

パセドウ病、白目が黄色くなった人などなど・・・

当店では、便秘がちで、良く口内炎ができるという人に良く使い、その場で口内炎の

痛みが取れた人が多々います。またじんましんのかゆみにも良く使います。

茵陳蒿湯は、便秘がちで小便が遠い、または少ないことがポイントになります。

また、尿の色が着色で濃い人で、かゆみがひどい人などにも使います。

じんましん、口内炎が出た時だけ飲めて、治ると苦くて飲めないという人もいます。

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漢方の軟膏 アトピーなどに・・・

神仙太乙膏(しんせんたいつこう)という漢方の軟膏があります。

皮膚の炎症をとる生薬と皮膚を潤す生薬からなり、皮膚病に広く使えるのが特徴。

アトピー性皮膚炎に多いカユミ、寝たきりの方に起きやすい床ずれ、

そのほか切り傷や虫刺され、やけどなどにも使えます。

家庭の常備薬としてぜひ備えていただきたい漢方軟膏です。

処方構成と効能

当帰、芍薬、地黄・・・血行改善、皮膚筋肉などの組織再生、

玄参、大黄・・・・・・炎症鎮静、化膿止め

びゃくし、桂皮・・・・湿を取り除き、痛み、かゆみを止める

ごま油、ミツロウ・・・潤いと保護

構成生薬中には、熱を冷ます働きがある薬物が多く、患部が発赤して熱感を帯び、

かゆみの強い皮膚病に適しています。

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