胃の不調の生薬 胃酸の出方で・・・

心下痞のところで、胃酸が出すぎる時は、黄芩。

胃酸が出にくくなっているときは、人参といいました。

では、胃酸過多のときの黄芩は、胃酸を抑えているのか?

黄芩は、胆汁の分泌をよくして、胃酸の多い状態を抑えているのです。

では、胃酸を直接抑えてくれる生薬は?

黄連です。

胃の不調に直接効くのは、黄連と人参と覚えてください。

みぞおち(胃)の苦情のとき、胃酸過多状態なの黄連。

胃酸が少なくての苦情は、人参を使います。

まとめると、胃に直接効くのは、黄連と人参。

胆嚢に効くのが黄芩ということになります。

 

胸脇苦満3  胃の弱い人は

胸脇苦満の状態に、柴胡と黄芩は良く使います。

しかし、胃が弱い人にはいきなり入れると胃がおかしくなる人がいます。

胃の弱い人には、まず胃を立て成さなければいけません。

そこで心下痞に苦情がいるかどうか、

また、胃酸が出ない状態なのか、胃自体が動かない状態にあるか

などを見極めて漢方を選びます。

間違いやすいのが、肋骨弓下のみに苦情がある場合です。

もし、心下痞にも苦情があれば、柴胡ではなく、黄連、茯苓剤を使います。

つまり、胸脇苦満のような症状で実は心下痞に症状がある場合は、

柴胡剤の前に黄連、茯苓剤を使い、心下痞の苦情を取ってから

柴胡剤を考えた方がよいわけです。

では、どんな状態のとき柴胡剤か・・・

肝・胆・心・脾・胃が過労して、その部分に熱を生じているときです。

もし、それらが虚していたならば、使えないということ。

胃も肝も過労していめだけで虚していない胃の疾患にだけ

柴胡を使い、柴胡剤が合う人は、

心下痞が起こらないというのが条件になります。

その見極めは、難しく探りをいれながら漢方を飲ませます。

このように胸脇苦満、肋骨弓下、心下痞の症状は

とても難しく、経験が必要となります。

胸脇苦満2 生薬は・・・

胸脇苦満に使う生薬で代表的なものは・・・

柴胡と黄芩です。

黄芩は、心下痞のところでもでてきましたね。

胃酸が出すぎているときに抑制し、心下痞にも効きました。

他にも黄芩は、肺が働き過ぎて熱を出しているときに働きます。

また、胆嚢の炎症にも作用する働きがあります。

一方柴胡は・・・

肝臓が亢進しているとき、

炎症を起こしているときに鎮める働きがあります。

漢方では、よく左右で分けたりします。

右の胸脇苦満・・・柴胡

左の胸脇苦満・・・黄芩

自覚している人は、左右どちらか聞けばよいし、

自覚がない人は、肋骨下を押してみると、

どちらに違和感や圧痛があるかを確認します。

胸脇苦満と心下痞  区別は?

ところで胸脇苦満と心下痞の起こる原因は、なんとなく

ご理解できたと思いますが、どのように区別するのか?

みぞおちがおかしい、などの症状は、心下痞であるのか、

胸脇苦満であるのかなかなか区別がつきにくいもの。

胸脇苦満は、横隔膜の不調です。

よって、みぞおち、みぞおちの周辺、その他の横隔膜の場所の

苦情ということになります。

心下痞は、みぞおちだけに苦情がでます。

では、全て胸脇苦満として漢方を選んだほうが、範囲が広くてよいのか?

実は、胸脇苦満なのか、心下痞なのかをハッキリして

漢方を選べるようになることが大切です。

そのことを生薬から説明してみます。・・・つづく。

胸脇苦満 どのような状態? 

漢方を勉強していると良くでてくる言葉に「胸脇苦満」があります。

では、胸脇苦満とはどのような状態か?

胸苦しいとか、脇のところが苦しいという状態が続くと、

肋骨弓下のところがおかしくなり、手で押してみると痛い!

などの苦情が出てきます。

どうして胸脇苦満が起こるのか?

結論からいうと交感神経が亢進して胸部、胸にある臓器の働きも

亢進して働き過ぎの状態が横隔膜に影響してくるのです。

胸部にある臓器は、肺・肝臓・胆嚢・心臓・膵臓・胃です。

胃と膵臓は、胸部より下では?と言う考えもあります。

しかし、一部は、胸部にあるのでここでは胸部内と考えてください。

なぜなら、胃や心臓が悪い時に胸苦しさ、脇に症状が出る場合があるからです。

みぞおちのつかえ どんな生薬か・・・

みぞおちのつかえるということを漢方では、心下痞(しんかひ)といいます。

胃腸の調子が悪かったり、消化不良を起こして

みぞおちが使えることがあります。

では、みぞおちのつかえを治す生薬は、どんなものがあるのか?

代表的な生薬は、黄芩と人参があります。

どのように使え分けたらよいのか・・・

黄芩は、胃酸の過剰分泌、胆汁の分泌不足が原因の胃部不快感です。

対して人参は、胃酸の分泌不足による胃部不快感のある心下痞に使います。

胃酸過多症・・・黄芩。

胃酸分泌不足・・人参。

胃酸過多症の人に人参を使うと更に胃酸が分泌され、

かえって胃部不快感が増します。

私も人参湯で胃部不快感が増して、苦しくなったことがあります。

私の場合、どちらかというと胃酸過多症のようです。・・・食べ過ぎですね!

実証と虚証4 判別法は・・・

では、どのように判別したらよいのか?

実証の状態は、疲れをほとんど感じないもので、疲れから生じる汗が

比較的すくない体質といえます。

汗が全くでないということではなく、不快感を伴う汗、

病的な汗が比較的出ないという意味です。

対して虚証の人は、疲れやすく、疲れたために出る汗が不快感を伴います。

つまり、出てはいけない汗、または、毛穴を閉じていることができずに

漏れてしまうような汗が出やすい体質といえます。

このようにどんな汗が出るか?が見極めのポイントのひとつです。

 

実証と虚証3 自律神経から・・・

自律神経からみてみると・・・

実証の人は、エネルギーが充分にあるため、

神経が興奮しやすい人、交感神経が亢進しやすい、

あるいは交感神経が働きやすい体質と考えてください。

いっぽう虚証の人は、エネルギーが少ないため、

できるだけ休息している状態がよいので、

副交感神経が優位に働いている状態、

副交感神経が亢進しやすい体質といえます。

では、実証と虚証の判別は?・・・つづく。

実証と虚証2 12種類のパターンが・・・

実証の人は、病気と闘うエネルギー量が多いので陽病になると考えがちですが、

病気に対してなんらかの理由でエネルギーは持っているもの、

それを出すことが出来ないときがあります。

そんな時は、陰病の状態になります。

同様に虚証の人は、保有しているエネルギー量が少ない人でも、

ありったけのエネルギーを使い、病状に立ち向かうときは、

陽病の症状が出てきます。

まとめると、実証も虚証も三陽、三陰の六種類の病状があり、

合計12種類の病状があるということになります。

そのなかで古方では、漢方を選んでいきます。

たとえば、実証体質の太陽病だとか、

虚証体質の少陽病とか分けて漢方を選びます。

実証と虚証1 どの視点で・・・

またまた漢方のお勉強です。

良く使われる実証体質と虚証体質についてです。

この呼び方は、とても理解することが難しく何をもってして実証か虚証か?

別の呼び方として実証のことを傷寒体質、虚証のことを中風体質ともいいます。

実証とは、病気に対して打ち勝つエネルギーを持っている人。

虚証とは、病気を治すのに必要なエネルギーが少ない体質とまとめることが出来ます。

では、実証の人は、陽病しかならないのか?

虚証の人は、陰病にしかならないのか?

結論・・・実証の人も虚証の人も陽病、陰病になりうるということです。

このへんがよくわかりづらいところでもあります。

つづきは明日。